18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
3、彼の裏の顔
タワーマンションの一角。
その部屋はやけに広くあまり物が置かれていないすっきりとした空間となっている。
そもそもここは彼にとって仮住まいのひとつにすぎない。
ゆえに荷物はあまり置かないことにしているのである。
リビングは極力照明が抑えられ、薄暗い室内には窓の向こうの夜景が映える。
彼はこの静寂な空間でひとり酒を飲むことを好む。
彼はソファに腰かけて赤ワインのボトルを1本開けた。
半分ほどグラスに注いで一気に飲み干し、それから少し考えごとに浸った。
思い出していたのは、ここに連れてきた彼女のこと。
彼は人差し指を口もとに当てて薄ら笑いを浮かべた。
しばらくすると部屋に着信音が鳴り響き、彼はゆっくりとした動作で自分のスマホを手に取った。
「ああ、お前か」
彼は静かにソファから立ち上がり、窓際へ移動する。
眼下に広がる眩い景色に目をやりながら、彼は口もとに笑みを浮かべた。
「何、失敗はしていない。すべて計画どおりだ」