18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
ギシッとベッドの軋む音がした。
彼は上体を起こし、いろはの体を覆うようにかぶさった。
「ふふっ……おいしい」
と彼女が呟き、そしてヘラっと笑った。
何の夢を見ているのかは知らないが、幸せそうな顔をしている。
「人の気も知らないでよくも……」
遥は思わず苛立ちが声に出てしまった。
何度もキスをして触れ合って、散々、女の表情を見せられたあとが、これだ。
耐えられるわけがない。
「いろは」
名前を呼んでみたが、反応はなかった。
だから、彼は何も知らずに目の前で眠る彼女にイタズラをすることにした。
おそらくいろはが一番好きな耳噛みをしてみたら、彼女は先ほどよりもさらに幸福感に満たされた表情で「はぁ」とため息のような熱い吐息をもらした。
彼はイタズラをやめることにした。
こんなことをしても意味がない。
彼はため息をつくと、彼女から離れてとなりにごろんと横になった。
恐ろしいほどの静寂の中、彼女の寝息だけが室内に響きわたる。
静まることのない高揚感をこのまま朝まで保ち続けるのは苦痛でしかなかった。
彼はベッドから起き上がって、部屋を出ていくことにした。
どうせ眠れないならもう酒に何とかしてもらうしかなかった。
部屋の扉に手をかけた瞬間。
「はるか、さん……」
彼女の寝言だった。
(なんて可愛い小悪魔だ……!)