18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
明け方にようやく眠りについた遥は、もぞもぞと懐で動くものに気づいて手で抱えた。
「わっ……」
と小さな声がした。
彼はその温かい体をぎゅっと自分に抱き寄せた。
こうすると安心する。それは昔のあのときのようだった。
まだ小さな体だった彼女を抱きしめて眠った。
あの頃は自身でも自覚するほど心が荒んでいて、そんなときに彼女と出会ったのだ。
「遥さん」
と小さな声で話しかけられた。
彼はぎゅっと目を閉じたまま、さらに目の前の体を強く抱いた。
「う……苦しい、よ」
もがいて離れようとする彼女を強く押さえつけたまま、低い声で彼は言った。
「逃げるなよ」
彼女がびくっと震えるのがわかった。
わかったけど、解放してやる気にはならなかった。
「逃げないよ……でも、ちょっと緩めて……」
彼が少しだけ目を開けると、目の前のいろはがもぞもぞしていた。
自分でもようやく強く押さえ込んでいることに気づき、腕の力を緩めた。
「はあ……苦しかった」
彼女は深く息を吐いて、それからじっと上目遣いで遥を見た。
寝起きの少しとぼけた感じの表情がたまらなくそそられる。
(あー……可愛い、可愛い。可愛い!)