18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「おはよ、いろは」
と彼は穏やかな声で話しかけた。
いろはは恥ずかしそうに布団で肩を隠して「ぉ、はよぅ……」と小声で返した。
そして彼女は布団で顔まで隠して「きゃー」と言った。
遥はそれをしばらく真顔で見つめてから、むっくりと起き上がり、無言で布団をめぐり上げた。
「やだ、遥さん。何するの?」
「隠さなくていいよ」
「は、恥ずかしいよ……」
「昨夜はもっと恥ずかしいことをしたけど?」
未遂だけどな、と彼は胸中で呟いた。
いろははしばらく布団にもぐっていたが、やがて頭を出して目線だけ向けた。
「あ、あの……恥ず、かしい……けど」
「けど?」
「その……すごく、気持ちよくて、幸せだった」
彼女は真っ赤に染まった頬を布団から覗かせてぼそぼそと言った。
遥はそれを真顔で見つめた。
「あ、あの……私たち、えっちなこと、しちゃったよね?」
遥は真顔で彼女を見つめたままだ。
「あんなに幸せな気持ちになれるんだね。みんなが、そういうこと好きなの、わかるよ」
遥は一回瞬きをしたが、やはり真顔のまま見つめている。
「あんな、気持ちよくて素敵なことなら、わたし、毎日しても、いいかなあ」
遥はふっと目線をそらし、口もとに笑みを浮かべた。
そして、彼女に笑顔を向ける。
「いいよ。じゃあ毎日しよう」
「う、ん……」
「ただし」
「えっ?」
彼はきょとんとしている彼女に向かって言い放つ。
「まだ何も始まってないからね?」
彼女は顔から首まで真っ赤になり、またもや布団をかぶった。
(これは時間がかかりそうだ)
遥は頭を抱える。
ふたりの夫婦生活は、まだ始まったばかり。