18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
遥さんはアトラクションに乗った直後、ぐったりした表情で遠くを見つめていた。
その瞳はまるで死んだ魚のよう……。
「どうして乗れないって言ってくれなかったの? 苦手なのに無理して」
「いや……いけるかと思ったんだけど」
「無理しちゃだめだよ」
「……そうだね」
やや足もとがふらついている彼を支えながら、私は空いているベンチへ向かった。
そして彼を座らせると、その顔色をうかがった。
「頭痛くない? 吐き気とかない? 眩暈とか」
「いや、大丈夫。それにしても、結構すごいね。脳みそも心臓もぜんぶ持っていかれるかと思った」
「遥さん……本当に苦手なんだね」
「もう若くないしね」
「若さとか関係あるかな?」
彼は横目でじっと私を見つめた。
それはまるで、よくこんなものに嬉々として乗れるなあ、とでも言うような目だ。
「ごめんなさい。私が浮かれすぎてて」
ああ、失敗した。
私は自分のことしか考えていなかった。
そうだよね。遥さんは大人なんだから遊園地じゃないよね……。
「映画か水族館にすればよかったね」
「いや、いろはが行きたいところにと俺が言ったからね」
「でも……」
遥さんは私の手を握って微笑んだ。
「遊園地は思い出の場所なんだよ。だから、いろはが来たいと言ったとき、懐かしくて嬉しかった」
彼は笑っているけど、困惑したような表情で言った。