18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 遥さんは遠くへ視線を向けたまま黙り込んだ。

 周囲は家族連れでにぎわって、たくさんの笑顔があふれている。

 余計なことを思い出させちゃ駄目だと思った。

 だって、今は私が彼の家族なんだから。


「遥さん、何か冷たい飲み物を買ってくるよ。すっきりしたいよね」

「ああ、俺が……」

 立ち上がろうとする彼を、私は制止するように、その肩に手を添えた。


「遥さんは座ってて。まだ体がふらついているから」

 彼は口もとを押さえて苦笑しながら私に目線だけ向けた。


「格好悪いな」

 ああ、そういうの気にする人だよ。この人は。


「ねえ、たまには私に甘えて。私はあなたの奥さんだよ」

 そう言うと、遥さんは少し照れくさそうに笑った。


 そういう表情、もっとしてほしいなと思う。

 カッコつけてる彼よりも、もっと素のままの彼が見たいし、知りたい。


「じゃあ、今日はいろはに甘えようかな」

「うん。ちょっと待っててね。すぐ戻るから」

 遥さんはいつも以上に嬉しそうな顔で笑った。私にはそう見えた。


 彼が私といて嬉しくて喜んでくれるなら、なんでもできるかもしれない。

 そんなふうに考えながら売店まで小走りで向かっていて、ふと立ち止まる。


「わたし、ちゃんと好きって伝えてない」

 でも、伝えるタイミングっていつだろう?

 ベッドの中……?

 いやいやいや、何考えてるの!?


 最近の私、ちょっと(思考が♡になってて)おかしい。



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