18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 まさか、伊吹くんとこんなところで会うなんて思わなかった。

 でも、落ち着いて。

 もう苦手な人じゃないから、大丈夫。


「伊吹くん、偶然だね。えっと、妹さん?」

 訊ねると彼は少し俯き加減で答えた。


「いや、違う。親戚の子……今日は、付き添い」

「そうなんだ」

 それっきり黙ってしまった。

 苦手ではなくなったけど、なかなか会話にはならない。

 この微妙な空気をさりげなく和らげてくれたのは、遥さんだった。


「いろはの知り合い?」

 彼に訊かれて私はすぐに頷いた。


「うん。学校の、同じ学年の子なの」

 部活も一緒であるということは言わないでおいた。


 伊吹くんは私と遥さんを交互に見る。

 どうしよう。ここは伊吹くんにも紹介すべきなのかな。

 だけど、どう言えばいいだろう? 

 結婚しているなんて誰にも言っていないし、恋人って言っても遥さんは怒らないかな?


 そんな不安を抱きながらいい表現がないか頭の中を探っていると、遥さんがそっと私の肩に手を置いた。

 そして、彼は言い放った。


「どうも。うちのいろはがお世話になっているようだね」


 私は呆気にとられてとなりの彼を見上げた。



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