18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
遥さん、なんて言い方をするのだろう。
伊吹くんもびっくりしてるよ。
「君の話はいろはから聞いているよ。仲良くしてくれてありがとう」
遥さん!?
驚いて彼の腕をつかんだ。
どうしてそんなことを言うんだろう。
伊吹くんの話を家で勝手にしてるって思われちゃうよ。
まだそんなに仲良くなっていないのに。
「いろはも、俺とばかり毎日一緒にいるより、同学年の子とも交流したほうが人生のためになるしね」
遥さん、どうして“毎日一緒にいる”のところを強調するんだろう。
伊吹くんの顔を見ると、彼は眉をひそめて怪訝な表情をしていた。
そうだよね。いきなりそんな話をされても反応に困るよね。
こうなったら、一番無難なことを言うしかない。
「家族なの。一緒に暮らしてるから、それで……」
伊吹くんは「あ、ああ……」と反応をした。
兄だと思われたかもしれない。
遠くから「ひびきー」という男の人の声がして、女の子が「パパだー」と走っていった。
それから伊吹くんは私に軽くお辞儀をして、ちらりと遥さんを見てすぐに視線を戻した。
「じゃあ、俺行くから」
「うん、また学校で」
私が軽く手を振ると、伊吹くんは照れくさそうに手を振り返してくれた。
嬉しくてつい頬が緩んだら、となりで遥さんが私の背中に腕をまわした。
「じゃあ、行こうか」
「……うん」
やけに、にこにこしている遥さんを見て、なんだか妙な気持ちになった。