18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
22、朝陽と伊吹
伊吹は非常に不機嫌だった。
なぜなら、せっかくの連休中に朝陽に外へ連れ出されたからである。
しかも、3人の子供(小学生と幼稚園児)を連れて。
「僕ジェットコースター乗りたい!」
「あたしお馬さんがいい!」
子供たちに両手を引っ張られながら朝陽が振り向いたので、伊吹は心底嫌そうな顔をした。
「なんで俺がこんなとこ来なきゃならないんだ」
ぶつぶつと文句を言う伊吹に、朝陽が苦笑する。
「仕方ないでしょー。義兄さんだけじゃ子守り大変そうだもん」
朝陽の姉が遠方の友人の結婚式に参加するため不在にしている連休中に、自分たちも遠出したいと騒いだ子供たちを朝陽が遊園地に連れてくることにしたのだ。
そして、伊吹を半ば無理やり誘ってきたのである。
「俺、一応受験生なんだけど」
「普段頑張ってるんでしょ。息抜きくらいしなきゃ」
まさか褒められるとは思わず、伊吹は照れくさそうしながらガイドマップで顔を隠した。
今日くらいはいいかと思った。
彼は遊園地、それも絶叫系が大好物だった。
「俺は子守りはしねえぞ。適当に楽しんでおくから」
彼はそう言って、目的のアトラクションへ目をやると、そこに意外な人物を見かけた気がして、二度見した。
しかし、目にしたのは一瞬のこと。
すでにその人物は人混みに姿を消していた。
「……秋月? まさか、な」