18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「こらっ、秋月いろは!」
頭上で声がして、私は慌てて教科書でノートを隠した。
見上げるとそこには引きつった顔で見下ろす先生の姿があった。
「あたしの授業がつまらなくて悪かったね」
先生がそう言うと、クラス全員が大笑いした。
私は「すみません」と謝りながら頭を下げた。
授業が終わったあと、私はすぐに教室を出て、先生のあとを追いかけた。
「由希ちゃん!」
叫ぶと彼女は振り返って、私を半眼で睨んだ。
「間宮先生、でしょ!」
由希ちゃんは腰に手を当てて、呆れたような顔で私を見た。
間宮由希。
社会科教師で日本史担当。
今年から私のクラス担任になったのだけど、私は小さい頃からずっと由希ちゃんと呼んでいるから、まだ先生呼びに慣れないでいる。
「ごめん。あの、週末うちに来れる?」
「カレシとの都合による」
「そっか。ちょっと相談したいことがあるんだけど」
由希ちゃんは周囲を確認するように見まわしてから、私にこそっと耳打ちした。
「例の結婚相手のこと?」
「由希ちゃん!」
「やっぱりね。いいよ。あたしも話が聞きたいと思ってたとこ」
「ありがとう」
由希ちゃんに話して、私は少しほっとした。