18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
朝陽がゴミ捨てから戻ってくると、誰もいないテーブルに父親だけが戻って周囲をキョロキョロ見まわしていた。
子供たちのうち兄ふたりはアトラクションのほうから歩いてくる。
「ひびきは?」
訊ねると兄たちは首を傾げて答えた。
「ここで待ってろって言ったよ」
朝陽は血の気が引く思いがした。
「どうしよう。ごめんなさい、義兄さん!」
「朝陽ちゃんのせいじゃないよ。とにかく探してみよう」
父親と子供たちはアトラクションのほうへ、朝陽は売店のほうへ向かった。
朝陽はスマホでメッセージを送った。
『ひびきがいなくなった。お願い、探して!』
伊吹からは了解スタンプが返ってきた。
朝陽はひびきの名前を呼びながらあちこち探しまわる。
「ああ……どうしよう。ひびきに何かあったら……姉さんの子に私はなんてことを……!」
朝陽は涙ぐみながら必死に走りまわった。
すると一瞬目に留まったのは、風船を持ったパンダががっくりとうな垂れている様子だった。
そこに、パンダを睨みつける少女がいたのだった。
「ひびき!」
朝陽は安堵して、駆け寄った。