18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 観覧車の中は夕陽でキラキラしている。

 そのせいだと思うけど、遥さんの顔がいつもより綺麗で、微笑むその表情にうっとりとしてしまった。


「いろは、よく聞こえなかった。もう一回、言ってくれる?」

「え……もう一回?」

「早く」


 遥さんが顔を近づけてきた。


「あ……恥ずかし」

「早く、言って」


 何これまるで拷問みたい。

 どうしてだか、いつもより胸が高鳴り、声が震える。

 夕焼け効果って、すごい……!


「す、き……」

「聞こえない」

 意を決して、彼の腕をぎゅっとつかむと、目を合わせて、はっきりと口にした。


「好き!」

「俺はもっと好き」

「わっ……!」

 いきなり彼に抱き寄せられて、体勢を崩し、そのまま彼の懐に顔をうずめた。


「遥さん、ちょっと」

「いろは、好きだー」

「ちょっと待って。外から見えちゃうよ」

「見せてやれよ」

「バカップルだと思われちゃう!」


 遥さんは笑みを浮かべながら、私の髪を撫でたり耳を触ったりした。


「ひゃっ……」

 見られている、という意識のせいかいつも以上にドキドキする。


「もう、やめてよ。恥ずかしいよ」

「大丈夫、見えないから」

「え?」


 正面の窓の向こうには何も見えなくて、背後も何も見えない。

 ただ、夕暮れの景色が眩しく輝いているだけだ。


「てっぺんだよ」

 と遥さんが言った。


 そして、私たちはキスを交わした。




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