18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
24、不穏な空気
「すっごいわあ、いろは! 色気が満載よ!」
イラストのデータをPCで表示させると、小春は感嘆の声を上げ、私は思わず「しぃー!」と制止した。
いくら部室で今は誰もいないとは言え、外にいる人に聞こえてしまうかもしれない。
「いいわねぇ。攻めが上半身裸で受けに襲いかかるこのシチュ最高よ。ドS感すごい! タカもシャツが乱れまくってイヤイヤ言いながら喜ぶ姿、神がかってる!」
大声で話す小春を慌てて制止する。
「いちいち説明しなくていいから!」
すると小春は私を見てにやりと笑った。
「いろはったら、ずいぶんと色気のあるイラストが描けるようになったのね。やっぱり社会人の彼にいろいろしてもらってるから?」
「う、うるさいよ! そんなこと関係ないでしょ」
「うへへへ。想像できるわあ」
「想像しないで!」
妄想癖のある小春も、そういえば結構な変態だった。
「でもね、それはラフ画しかないよ。完成品はこっち」
私は次のデータをクリックして、別のイラストを表示させた。
きちんとカラーまで仕上げた学園祭に出展する作品だ。
しかし、それを見た小春は真顔で眉をひそめた。
「え? 何これ。ぜんぜん萌えない」
それもそうだ。
完成させた絵はカケルとタカがただ公園で歩きながらアイスを食べているシーンだから。
「いやいや、これじゃ恋人か友達かわかんないじゃない」
「だから、そこは見た人の想像にお任せするってことで」
だいたい、学校行事で堂々といやらしいイラストなんて出せるわけないよ。