18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

「わ、私は……遥さんを愛しています。誰に何を言われても、彼とのことを反対されても、私は別れません!」

 長門先生は小さく舌打ちして、私から顔を背けた。

 私は心臓が飛び出しそうなくらいドキドキして、手に汗が滲み出てプリント類が湿っている。


 早く、これを職員室に、持っていかなきゃ。

 そう思うのに、足が動かない。

 そうしていたら、突如遠くから声が響いた。


「何してるんですか? 長門先生」

 声のしたほうを見ると、由希ちゃんが怖い顔をしてこちらに近づいてきていた。


「別に、何もしていませんよ」

 さらっと返す長門先生に、由希ちゃんは声のトーンを変えず話す。


「今、生徒を脅すような口調で話していましたよね?」

「脅してなどいません。ただ、思ったことを口にしただけです」

 睨むように見上げる由希ちゃんに対し、長門先生は真顔で彼女を見下ろしている。


「あなた、教職員ですよ?」

「それが何か? 教員も人間です」

「問題を起こしたら学校にいられなくなりますよ」

「そうなる前に辞めますけどね」


 ピリピリした空気が漂って、ここが学校であることを忘れた。

 ふたりはしばらくお互いに睨み合っていたけど、長門先生が先に顔を背けた。

 彼はため息をついて何も言わずに立ち去った。

 その際、「めんどくさ」という彼の呟きを私はうっかり拾ってしまった。


 面倒なのはどっちなのー!?


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