18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「いろは、大丈夫?」
由希ちゃんに声をかけられて、私は「うん」と返事をした。
だけど、まだ手が震えていて、私はプリント類にしわをつけていた。
「酷いこと言われたの?」
「酷いっていうか……」
さっきまで気力で対抗していたのに、今は頭が混乱して体の震えが止まらない。
「長門先生、私のことが嫌いなんだって」
苦笑しながら話すと、由希ちゃんは怪訝な表情でため息をついた。
「大人げない人。生徒相手に何やってんのよ」
「遥さんの、お友達だから……私が彼に不釣り合いだから、気に入らないんだよ」
「んー、なんかそれだけじゃない気がする」
「えっ?」
由希ちゃんは眉をひそめて長門先生が立ち去ったあとの廊下を睨むように見ていたけど、急に笑顔になった。
「いろは、旦那に話して何とかしてもらいなさい。アレはあんたの手には負えないわ」
「う、うん……」
不安な気持ちを抱えて俯くと、由希ちゃんが私の頭を撫でた。
「大丈夫よ。学校にいるあいだは、あたしが目を光らせておくから」
なんだか涙が出そうになった。
「ありがとう、由希ちゃん」
その夜、私はこのことを遥さんに報告した。
彼は夜中まで長門先生と電話をしていたようだけど、その内容は知らない。