18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「ところで、秋月課長は? どなたか、ご家族か親戚の子がここにいるんですか?」
訊かれたので、素直に答えることにした。
「ああ、家族がいるんだ」
「へえっ、家族……え? 家族? 妹さんとか……」
焦ったり笑ったり驚いたりと、ころころ表情を変える彼女を見ていると不思議な感覚になってきた。
じゃがいもがころころ転がっているようだ、と遥は脳内でその様子をイメージした。
「ようこそ、おふたりさま。お席が空いてますよ!」
動物カフェをしている教室の前で、エプロンをした女子生徒に声をかけられた。
「え? いや、私たちは……」
と朝陽が慌てていると、女子生徒の声に反応した他の生徒たちが声を上げた。
「今ならカップル限定サービスもありますよー!」
ざわざわと賑やかな室内から、注目を浴びることになってしまった。
「いや、俺は……」
と遥が断ろうとしたが、生徒たちに背中を押されて、ふたりはあれよあれよという間に可愛いパンダ柄のテーブルクロスの席に案内された。
「どうしましょう。私たち、カップルだと思われてます」
「困ったね」
「……ですよね。困りますよね」
お互いに向かい合って座り、そのあと無言になった。