１８婚～ヤンデレな旦那さまに溺愛されています～

＜ 朝陽 ＞

　この世にこれほどの偶然があるだろうか。

　いや、これはもう偶然ではないのだろう。


　そう、何もかもがあまりにも出来すぎている。

　つまりこれは、運命なのだ。


　朝陽は目の前に後光が見える。

　やはり、遥こそが自分の運命の人に違いないと思った。


「偶然ですね。私の親戚の子も同じ部なんですよ！」

「サッカー部の子？」

「はい！　まあ正直、ちゃんと活動しているのかわからないんですけど。あ、ちなみに、私はテニス部で漫画研究部と掛け持ちしてました！」


　話の流れで自分をアピールしてみた。


「その子、なんて名前？」

　清々しいほどスルーされて、朝陽は一瞬固まった。


「あ、えっと、香取伊吹と言います」

「ふうん、どんな子？」

「えっ……」

　なぜ自分ではなく伊吹のことを聞かれるのか、朝陽は混乱した。


「生意気な子なんですけど、可愛いところもあるというか。家が近いので、よく遊びに行ったりするんですよ」

「へえ。それくらいの歳の男の子はそういうところあるよね」


　意外にも笑顔を向けられて、朝陽は猛烈に嬉しくなり、饒舌に語った。


「そうなんですよー。最近好きな子ができたみたいで、青春だなあって思います。いいですよねー青春」

　遥は「そうだね」と言った。


　この流れで遥の話も聞き出せないだろうかと朝陽は頭の中で話題を探った。