18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
< 朝陽 >

 会社の上司に失恋して転んで惨めな思いをしていたら、上司に雰囲気そっくりなアイドル顔の先生に助けられた件。


 これ、恋愛小説なら間違いなく次のステップだよね!

 などと朝陽の脳内はまた、お花畑になっていた。


「はい、どうぞ」

 とコーヒーの紙コップを渡された。


「すみません。ありがとうございます」

 淹れたてのコーヒーは熱い。


「熱いから気をつけて」

 という言葉を添えてくれた。


 なんて紳士的な人だろう。

 いやいや、駄目だ。優しくされたからといって勘違いしてはいけない。

 想い人だった彼も優しくしてくれたけど、あれはただの社交辞令。

 今だって、そうに決まっている。


 とは思うものの、とりあえず訊いてみる。


「先生はアイドルに似ているって言われませんか?」

 彼は意外にもすんなり答えた。


「うん、よく言われる」

「ですよね! それに優しいし、女子生徒にすごくモテるんじゃないですか?」

 彼はたいして興味なさそうに淡々と返答する。


「どうでもいいよ」

「また、照れちゃって」

「だって僕、女の子に興味ないから」

「えっ……?」


 恋愛小説のような失恋後に出会った想い人そっくりな人との新しいストーリー。

 というものは、意外な形で終わりを告げた。


 いや、何を考えているんだ!

 と朝陽は自分に突っ込みを入れた。


 そうじゃない。今はそうじゃない。

 ドキドキしながら訊ねる。


「先生は、男の人が好きなんですか?」

 すると、彼はすんなり「そうだよ」と答えた。


 朝陽は絶句した。



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