18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「そちらの彼女……えっと、いろはさん。彼の気持ちにお答えをどうぞ!」
司会者のマイクが私に向けられた。
同時にカメラもこちらへ向いて、周囲の生徒たちの視線も全部、私に向けられている。
こ、こんな……みんなの前で……。
でも、答えないと気まずい空気になっちゃうし、この盛り上がりを白けさせちゃダメだ。
「わ、わたしも……愛して、います」
その瞬間、クラッカーがパーンと派手に弾けた。
「おめでとうございまーす!」
大歓声と拍手の中、私と遥さんは♡型の風船をもらった。
真っ赤なドレスを着た女子生徒は私たちふたりをくっつけて、カメラに顔を向けるように言った。
とりあえず、笑っておいた。
「いやーん、羨ましいー!」
「あんなふうに愛されたい!」
「大人の男性って素敵!」
女子生徒たちが盛り上がる中、私の知っている人たちは(小春以外)みんな静かだった。
伊吹くんはよそを向いて黙り、あさひさんは真顔でパチパチと拍手をしていた。
長門先生の顔は見ていない。
「では、想いが届いた遥さん。最後にメッセージをどうぞ」
司会者にマイクを向けられると、遥さんはなぜかカメラではなく背後を振り返った。
そこには、長門先生がいる。