18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
28、傷心の者たち
私立葉子二羽学園。
中等部と高等部が隣接しており、自由に行き来できるようになっている。
長門絢貴はそこで養護教諭として働いている。
彼はひっそりと、ある女子生徒を写真に収めていた。
秋月いろは。
写真を撮るたびに、絢は呆れぎみに苦笑した。
こんな頭の悪そうな子供のどこがそんなにいいのか、絢には理解できなかった。
友人の遥は週末に自宅を訪れた。
とは言え、そこは絢の自宅ではなく、遥のマンションである。
彼はその一室を借りていた。
週末はその部屋で、ふたりで酒を飲むことが、絢にとって最高のひとときだった。
「絢、ありがとう。いつも感謝してるよ」
遥はそう言って嬉しそうに写真のデータを受けとるのだ。
そして絢の部屋のパソコンを使って写真を眺めては、にやにやしている。
絢はその様子を見るとイライラした。
「僕にはその子の魅力がまったくわからないよ。どうしてハルはその子に執着するの?」
それを訊くと遥はいつも同じ返答をする。
「それはお前と一緒だよ」