18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 いじめをしてくる男子生徒たちは皆、金持ちだった。

 その反面、絢の家は母子家庭で貧しかった。

 諍いが起こるたびに、学校の教師は絢を問いつめた。


「やっぱり、母親に問題があるんだろうね。君のように問題を起こす生徒は」

 最初の頃は反論もしていたが、だんだん諦めるようになった。


 教師なんかみんなクソ野郎だ。

 保身のためにしか動かない。

 学校はいじめの加害者を守る。

 被害者は泣き寝入りをするしかない。


 その頃、絢にとって唯一信頼できる人物は、母親の恋人だった。

 事実婚だったが、絢にとっては父親そのものだった。


 彼は絢に多くのことを与えてくれた。

 絢が私立の学校に通えたのも、彼のおかげだ。

 彼は正式な手続きのもと、絢のために多額の金を贈与した。


 そして、その見返りに、絢と体の関係になった。

 母親の恋人は男を愛し、絢に手を出した。

 絢も彼を受け入れ、母親に内密の関係を実に3年間も続けたのである。


 中学3年になると彼との関係が母親にバレて、絢と男は引き裂かれることになった。

 母親は怒り狂って絢を罵倒し、殴った。


「お前のせいで、あたしの人生めちゃくちゃだよ! お前なんか産まなきゃよかった!」


 物心ついたときから数えきれないほど言われてきた言葉だ。

 幼い頃はそれでも母親に認められたいと願ったが、中学生の頃に諦めた。



< 338 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop