18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
教員なんか、保身のためにしか動かない。
本当に深い悩みを抱えている生徒に、手を差し伸べる教師は、どれくらいいるだろう。
助けてほしいと何度訴えても、助けてなどくれなかった。
救ってくれたのは、遥だけだ。
学校に来てもクラスには行けない。
登校拒否したくても、家にも居場所がない。
そんな生徒たちに、絢はいつも声をかけた。
『僕のところにおいで』
学校には、意外なほど自分と似ている生徒がいた。
絢は、彼らの話にじっくりと耳を傾けた。
以前は無愛想で頑なだった彼らは、徐々に心を開いて笑顔を見せるのだ。
『長門先生と出会えてよかった』
仕事をしていて一番やりがいを感じるのは、生徒のこの言葉だろうと思う。
――絢、お前のおかげだよ。ありがとう――
遥のあれは、おそらく本心だろう。
脅しの中にわずかな感謝の意を、絢は感じとった。
「僕が、ハルに、救われたから……」
絢は前髪をくしゃっとかきむしって、涙を堪えた。