18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
ある夜、ひとりで勉強をしていたら実家から電話がかかってきた。
『いろは、元気にしてる?』
「パパ!」
久しぶりに父の声を聞いて、嬉しくて胸が高鳴った。
『もうすぐ試験だね。調子はどうだい?』
「うん。頑張ってるよ」
1ヵ月間はひたすら過去問を解き、できなかったところは全部遥さんが丁寧に教えてくれた。
最高の家庭教師だと、父に報告した。
『そうか。順調そうならいいんだ。勉強に集中したいなら試験まで家に帰ってくるかなと思っていたんだけど』
家に帰る。
そうすれば、加賀さんに迷惑をかけなくて済む。
最近は、遥さんとあまり話していない。
相変わらず彼は優しいけど、あれから少し距離を置かれている。
彼はずっと何かを考えているみたいで、たまにぼんやりしている。
「ううん、大丈夫。ここにいたほうが勉強に集中できるから」
私は父の申し出を断った。
だって、実家に帰ったら漫画とゲームとアイドルグッズが満載で、絶対に誘惑に負けるに決まっているから。
この部屋には娯楽が何もないから、勉強するには最適な空間なのだ。
『そうか。じゃあ、試験が終わったらうちに顔を出しにおいで』
私は快くOKして、しばらく会話をしてから電話を切った。
父からの電話は本当に嬉しかった。
離れていると余計に。
だから、遥さんの父親に対する態度が、私には理解できないのだった。