18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「結婚式?」
「そう。具体的に決めていかないとね。でも、いろはの望むようにしたい」
そっかあ、結婚式かあ。
憧れのウェディングドレス。
「ふたりきりでもいいよ」
「え?」
ふたりきりだなんて。
「海外挙式をして、そのあと帰国してから、いろはの友人たちを招待してレストラン貸し切りで披露宴をするのも悪くないね」
「わっ、それ素敵」
「いろはの好きなようにしていいよ。俺たちふたりの結婚式だから」
「うん。すっごく楽しみ!」
私はすっかり舞い上がった。
テレビや雑誌で見るような、キラキラした結婚式の光景が頭に浮かんできて、思わず笑みがこぼれる。
幸せな妄想をしていたら、遥さんのひと言で現実を取り戻す。
「いろは、もうすぐ着くよ」
どきりとしてつい背筋を伸ばした。
今までほぐれていた緊張感が一気に増してくる。
久しぶりに訪れる秋月の本家。
遥さんは正門ではなく、裏の駐車スペースから敷地内へ入る。
建物が遠くへ見えるほど広大な敷地である。
うちの何倍? いや、何十倍?
心臓がどくどくと鼓動を打ち鳴らす。
義両親に会うこともそうだけど、私はこの家でひとつトラウマがある。
小学校のときに二度と本家に行きたくないと両親に泣いてすがったある苦い思い出。
もう心配することもないのに、どうしてもそのことが気にかかってしまうのだった。