18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
信じられない。
実の親にそんなことを言うなんて。
そうでなくても、苦しんでいる人を目の前にそんな冷たいことが言えるなんて。
「遥さん、そんな……」
「遥くん、言っていいことと悪いことがあるわ。いくら父親が嫌いだからってそんな言い方はあんまりだわ」
私の言葉を遮って、美景さんが遥さんを睨みながら言った。
だけど、遥さんはまったく動じることもなく、ただ美景さんを冷たく見下ろしている。
「正史郎さんは半年前に倒れたの。あなたに心配かけないようにと、これからも黙っているつもりだったのよ」
「美景」とおじさまが加賀さんに抱えられて体を起こしながら声をかけた。
しかし、美景さんは止まらなかった。
「この人は、あなたに遺言書まで書いて……」
「美景、やめなさい!」
おじさまの制止で美景さんは涙を流しながら黙った。
「私も同じことを由香里にしたんだ。遥が恨むのも無理はない」
おじさまの言葉に、遥さんは目をそらしたままだった。