18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 おじさまは病院に運ばれたが、命に別状はなかった。

 帰るときにはとっぷりと日が暮れて、なんだかどっと疲れてしまった。


「こんなことになってごめんね」

 帰りの車中で遥さんが私に謝った。


「おじさまが無事でよかったね」

 と私が言うと、彼はそれに関しては無反応だった。


 このまま義両親と気まずいままでいいのだろうか。

 ううん、絶対よくない気がする。


「あの、結婚式のことは、またちゃんと話し合ったほうがいいんじゃないかな」

 そのことを持ち出すと、彼は即座に否定した。


「必要ないよ。ふたりで決めることだから」

「でも、遥さんは本家の長男なのに」

「いろはと結婚したときに、家を捨てる覚悟をしたよ」

「え!?」

 遥さんはちらりと笑顔をこちらに向けた。


「俺がほしいものは君だけ。他には何もいらないから」

「あ……まさか、本当にお仕事辞めちゃうの?」

 遥さんはふっと笑った。


「心配ないよ。いろはに苦労はさせないから。ただ、このままだと予定より少し早まりそうだな」

「そんな……」


 そうしたら、秋月家はどうなってしまうのだろう。

 なんだか、おじさまが可哀想な気がしてきて、私は余計なことを言ってしまった。


「遥さん、ちゃんとおじさまと話し合おう。家族なんだからわかり合えるよ」


 遥さんはしばらく無言。

 そして、微妙な空気の中で彼はとても冷静に言った。


「いろは、君の家の価値観を人に押しつけるものじゃないよ」


 ぞっとするほど冷たい口調で、私は思わず震えてしまった。

 同時に私は自分が生意気にも口出ししたことを後悔した。


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