18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
31、私が守るべきもの
冬休み明けの新学期。
学校に来ることで少し気分が軽くなった。
遥さんとはずっと家のことに関する話題は避けている。
悶々とした時間だけが過ぎていき、何も解決しない。
本当に、このまま、彼は両親と縁を切ってしまうのだろうか。
「なるほど、そんなことになっていたのね。あんたもまた大変なところに嫁いだわねえ」
ひとりで抱えきれない私は、由希ちゃんに相談を持ちかけた。
「どうしよ。私が何か言えば遥さんはすごく怖いの。怒らせたくないからこれ以上何も言えないよ」
「まあ、触れられたくない部分なんだろうね」
「家族なのに、あんなに仲が悪いなんて、本当に信じられなくて……」
「あんたの家が特殊なのよ。まあ、箱庭で大事に育てられたあんたには理解しがたいだろうけど」
「箱庭……」
苦笑するしかない。
由希ちゃんは腕組みをして、急に何か思い出したように宙を見上げて言った。
「あたし、その由香里さんの葬儀に行ったわ」
「え? 遥さんのお母さんの?」
「うん。小学校低学年の頃よね。お母さんに言われて親戚中に挨拶してたんだけど、ひとりだけ無視されたのよ。嫌な子だなって思ったけど、あとで事情を聞いて複雑な気持ちになったわ」
「遥さんだったんだ」
「そりゃ親を亡くして元気に挨拶なんてできるわけないよね」
由希ちゃんが小学校低学年。
ということは遥さんは3、4年生ということだ。
私だったら耐えられないかもしれない。