18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
彼は鞄を置くために書斎へ向かう。
私はそのうしろをついて行き、思いきって自分の気持ちを伝えることにした。
「あのね、遥さん。私はおじさまにちゃんと伝えたから」
遥さんは上着を脱ぎながら「何を?」と訊いた。
「私は遥さんの意思を尊重したいって」
遥さんは「そう」と言って微笑んだ。
彼はシャツの胸もとを緩めながら書斎から出てきて、私を横目で見ると控えめに笑った。
「いろはもあっちの味方だと思ったんだけど」
やっぱり、そのように思わせていたんだと思って、慌てて弁解する。
「そんなことないよ! それに、どっちの味方なんて、そんなつもりはなくて……私は遥さんと結婚したんだから」
遥さんは「ありがとう」と言って今度は笑顔になり、私の背中に手を添えて、ふたりでリビングに戻った。
「あの……本当に、おじさまと縁を切るの?」
遥さんはもう嫌な顔をすることなく、冷静に落ち着いて返答をした。
「本当はね、成人したらすぐにあの家と縁を切るつもりだったんだ。それをしなかったのは、君がいたから」
「えっ……」
「いろはが大人になって俺と再会するまで、あの家とあの人を利用することにした。あの家と繋がっていれば、かえでさんからいろはの情報も聞けるしね」
意外なことに驚いて、そして理解した。
「それって、私がいなければ遥さんは……」
「ああ、もうここにはいないね」
彼はにっこりと笑って言った。