18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
部屋の外が騒がしくなっているのに気づいて、遥は目を覚ました。
どうやらいろはを探しているようで、バタバタと足音がしていた。
「おい、起きろ」
遥はすっかり寝入っているいろはを揺さぶって起こすが、びくともしない。
「起きろって。お前のこと、親が探してるよ」
「いや!」
いろはの拒否反応に、遥はイラっとした。
「いや、ってお前……ここ、俺の部屋だぞ。起きろよ」
「ねむいぃ……」
「知るかよ。家で寝ろよ」
それから何度声をかけてもいろはは起きなかったので、遥は仕方なく彼女を抱き上げて部屋から出ていった。
ちょうど階段から下りようとしたら、階下からかえでの声が響いた。
「いろは!」
かえでは真っ青な顔で階段を駆け上がってきた。
恐らく相当探したのだろう。息を切らせて必死に駆け上がってきて、いろはを抱っこした。
「ああ、無事でよかった。ちょっと目を離した隙にこの子は……」
遥は一緒に眠り込んでしまったことを申しわけなく思った。
「俺の部屋で泣いていたんです」
「まあ、遥くんなの? いろはのこと、ありがとう。それにしても、ご無沙汰してるわね。元気?」
「はい」
遥は冷静に返事をしたが、いろはを抱くかえでを見ていると、母を思い出して胸が痛くなった。
「あの、携帯を落としたみたいで……怒られると泣いていました。本人は反省しています」
遥が説明をすると、かえでは呆れたようにいろはを見て、それから微笑んだ。
携帯電話は階下の観葉植物の土がクッションになって、壊れてはいなかったようだ。