18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
高校生のときに、一度だけ、いろはと再会した。
彼女は小学生になっており、ずいぶんと綺麗な顔立ちをしていた。
そして、愛らしいほどに可愛いのである。
遥を見たいろはは開口一番こう言った。
「はじめまして。秋月いろはです」
ああ、完全に忘れているなと遥は思った。
しかし自分も中学生の頃よりずいぶん大人になったし、外見ではわからないだろうと思い、それも仕方がないと思った。
また会わなくなれば、彼女は忘れてしまうだろう。
彼女にとって、一度会っただけの男のことなど日常の一部分にしか過ぎない。
思い出のひとつ。過去の経験のひとつだ。
特別にはならない。
彼はいまだにいろはの写真を撮っていた。
時間の許す限り、彼女の行くところへ足を延ばし、彼女を見つけて写真に収めた。
パソコンには大量の写真データを保存していて、彼は丁寧にフォルダ分けをしていた。
そして、写真を眺めてひとり笑みを浮かべるのだった。
「いろは、綺麗だな」
――ああ、早く君の夢を叶えてあげたい――