18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 作ったチョコをラッピングしていたらすっかり夜になっていた。

 みんなと一緒に小春の家を出たあと、ふとハンカチを忘れたことに気づいて戻った。


 家の前に伊吹くんが立っていた。

 そして、小春が玄関から出てきたので声をかけようとした。

 けれど、やめた。


「これ、お前にやる」


 伊吹くんがさっき作ったばかりのチョコを小春に渡していた。

 小春は驚いて伊吹くんのチョコを受けとる。


「あら、どうしたの? いぶっきー。持って帰ればいいのに」

「うちの家族、喰わねーから」

「いぶっきーも?」

「さっき、味見したし」

「あたしも食べたわよ」


 クスクスと笑う小春と、恥ずかしそうに頬を赤らめる伊吹くん。

 それを、こっそり覗き見る私。


「仕方ないわね。あたしが食べてあげるわ。甘いもの好きだから」

「ああ、そうだと思った」

 小春が笑うと伊吹くんも笑顔になった。


「来月は忙しいわね。卒業式もあるのに、あたしの誕生日にホワイトデー。ちゃんと予定空けてるのよ」

「いつも暇だよ」

「知ってるわよ」


 そろり、そろりと足を後退させて、音をさせないように、静かにふたりから離れた。

 ハンカチのことはまたあとで小春にメッセージをしておけばいい。

 私はこの空間にいてはいけない存在だと思い、こっそり消えることにした。

 だけど、どうしても口もとが緩んで、つい笑みがこぼれてしまった。


 青春だ!!!




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