18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 その夜、おじさまの病院へお見舞いに行ったことと、手術の日程を遥さんに報告した。

 彼はたいして心配そうな様子もなく、ただ「ふうん」と反応するだけだった。


 お見舞いに行くつもりは、まったくないようだ。

 もしものことがあったら、後悔しないのかな。

 それが心配だった。


 あっという間に日々が過ぎていき、おじさまの手術は成功して、今は意識がしっかりとあり、食欲も取り戻したようだ。

 私は何度かお見舞いに足を運んだ。

 その日はオレンジと黄色のガーベラを中心としたアレンジメントの花を持っていった。


「いろはちゃん、いつもありがとう」


 おじさまの顔色はよくなっていたけど、母の話を聞いたせいか、彼が以前にも増して弱々しく見えた。


「あの、何かお手伝いできることとか、欲しいものがあったら遠慮なく言ってください」

 そう申し出ると、彼は少し考えてから切り出した。


「君にひとつ、お願いがあるんだ」

「はい」

「遥をここへ連れて来てもらえないだろうか」

「えっ……」

 それだけは非常に難しい頼みだと思ったけど、とりあえず訊いてみた。


「遥さんに会って、説得されるんですか?」

「いいや。ただ、あの子に真実を伝えたいんだ」

「真実?」


 遥さんの知らないことが何か、あるのだろうか。

 おじさまはすがるような顔つきで私に目を向ける。


「何を話しても私に非があることはわかっている。だから今まで遥にちゃんと話したことがなかった。それが余計に誤解を生んでしまったのかもしれない」


 私は一応、遥さんに話してみると言った。


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