18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
34、こわれた家族
秋月正史郎はどこで間違ったのだろうか。
そのことに彼自身が気づいたときには、息子は家を出ていた。
それはすべて、父の清十郎に逆らうことのできない己の弱さからくるものだった。
ゆえに、彼と関わったすべての者たちが巻き込まれ、不幸な道へと突き進んでいくのだった。
その始まりは、父の決めた家の娘である由香里との結婚だった。
正史郎は中学の頃から美景と付き合いがあった。
ふたりが恋人関係であることを知った父の清十郎が激怒し、常識では考えられない手段を用いてふたりを別れさせたのである。
理由は美景が母子家庭であることと、病弱な祖母や借金のある親戚がいたからだ。
別れは美景から切り出された。
おそらく裏で父に脅されたのだろうと正史郎は悟ったが、彼は抵抗することなく別れを受け入れた。
彼は、決して父に逆らうことのできない器だった。
子供の頃から父の命令どおりに生きてきたからだ。
彼が少しでも自分の意志で動くことができていたら、自身の息子と絶縁状態になることもなかっただろう。