18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 しばらくすれ違いがあったとはいえ、由香里は別人のようになっていた。

 以前はそれほど感情をむき出しにはしなかったのに、彼女がこれほど感情的になる理由は、しばらくして判明した。


 正史郎はたまたまその現場を目撃したのだった。

 それは、結婚以来初めてのことだった。


「この出来損ないの嫁が!」

 父の清十郎が由香里を引っ叩いたのだった。

 由香里が父の書斎に呼び出されていると使用人から聞いて駆けつけたら、その瞬間に出くわした。

 叩かれた由香里は床に倒れたが、父は平然と彼女に暴言を浴びせていた。


「わしに逆らうとは何事か! 離縁させてやってもいいのだぞ。その代わり、お前の不始末は親戚中が知ることになるだろう。もちろん、お前の親族と関係者もだ。一生の恥だな」


 由香里が震えている光景を見た正史郎は恐怖で固まった。

 それは、姉や妹がされていたことと同じことだ。

 正史郎はこの鬼が恐ろしくて逆らえず、ただ命令どおりに生きてきたのだ。


「遥はこの家の跡継ぎだ。親権はこちらが持つ」

 それを聞いた由香里は清十郎を睨みつけた。

 正史郎はそれを見て、慌てて部屋に飛び込み、父の前で正座をした。


「お父さん、申しわけありません」

 床に頭をついて土下座をする。

 これが、父の怒りを鎮める唯一の方法だった。



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