18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 父の書斎を出てから正史郎は由香里に提案をした。

「別居しよう」

 由香里はそれを聞いてすぐさま声を荒らげた。


「離婚する気なの?」

「違う。この家を出るんだ。離れで暮らしても構わない。父のいないところへ行くんだ。そうするしかない」

 由香里は喜んで受け入れてくれると思っていたが、予想外の答えが返ってきた。


「そうやって私をこの家から排除するんでしょ。そのうち離婚するんでしょ」

 正史郎は呆れてため息をついた。


「なぜそうなるんだ。君のために言っているんだぞ。あの父と一緒にいたら君は壊れてしまう」

 気遣ったつもりだったが、由香里は呆れ顔で笑った。


「今さら遅いわよ。私は今までずっとお義父さまにあんな扱いをされてきた。あなたに助けてって言っても、我慢しろとしか言わなかったでしょ。今頃になって味方のふりをしたって何も響かないわ」


 正史郎は激しく後悔した。

 今まで家庭を顧みなかったというよりは、あの父に恐れて見て見ぬふりをしてきたのだ。

 さすがに他人に手を上げることはしないだろうと思ったが、考えが甘かったのだ。


「だが、今からでもまだ間に合う。これから遥と3人で暮らして……」

「そんな言葉に騙されると思っているの? あなたが外で元カノと会っていることは知っているのよ」


 正史郎は背筋が凍りつく思いがした。



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