18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
正史郎にとって唯一の救いだったのが、美景と会って話を聞いてもらうことだった。
美景は正史郎に同情し、遥のことを心配した。
会って話をするうちに、正史郎は美景にそばにいてほしいと思った。
そして、美景も同じ気持ちだった。
今度は私が助けになる番だ、と彼女は言った。
初めて遥と美景を対面させる日、正史郎は不安だった。
だが、遥が意外にもすんなりと受け入れたので、心底安心したものだった。
遥は美景に笑顔で接し、少し明るくなったような気がした。
由香里が亡くなって遥はしばらく屍のような状態だったので、久しぶりの遥の笑顔に正史郎は思った。
やはり、遥には母親が必要なのだと。
これまで、幾度となく自分の選択は間違ってきた。
すべてが裏目に出て、物事が上手くいかなかったのだが、美景が来てくれたおかげで家の中が明るくなった気がした。
これでやっと、正常な暮らしが送れると思っていた。
「由香里、君の遺言は必ず守る。遥を立派な跡継ぎにするよ」
正史郎は由香里の墓前で決意を述べた。
まさか、何も変わらず崩壊へと突き進んでいるとは、微塵にも思わなかったのである。