18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
しばらくおじさまに冷たい視線を送っていた遥さんは、急に私のほうへ顔を向けて満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、いろは。帰って結婚式の計画を立てようか」
まるで人が変わったように穏やかで優しい表情だけど、ちょっと怖い。
「う、うん……そうだね」
「結婚雑誌と式場のパンフレットを取り寄せたよ」
「えっ……えっと」
この空間でころりと変わった彼の態度に私は戸惑っている。
すると、おじさまがこちらに向かって声を上げた。
「は、遥……私を、秋月家を見捨てないでくれるのか」
遥さんはまた冷たい目線をおじさまに向けた。
「あなたの事情などどうでもいいです。しかし、俺は秋月家に生まれた。この事実はどうにもできない。今後の関わり方はいろはと相談して決めるので、二度と俺に命令しないでください」
遥さんはきっぱりとそう言って、おじさまにくるりと背中を向けた。
しかし立ち止まって、補足するように続ける。
「あとひとつ。あなたは俺にとって反面教師だ。俺はあなたとは真逆の家庭を作りますよ」
おじさまは表情を緩ませて、わずかに笑みを浮かべた。
「ああ、それでいい。お前が幸せになれるなら。良い家庭を築いてほしい」
遥さんはおじさまの言葉に何も反応せず、病室を出た。
私も出ようとしたらおじさまに呼びかけられた。
「いろはちゃん、遥をよろしくね」
私は振り向いて「はい」と答え、おじさまにお辞儀をして遥さんを追いかけた。