18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 デパートの雑貨売り場で買い物をしていると、よく知った人物を目撃して二度見した。

 白衣を着ていないけど、あのルックスは間違いないと思ったから。


「あれ、長門先生じゃない?」

 そして、となりにいるのは女性だった。


「じゃがいも」

 と遥さんがぼそりと言った。

 私たちに気づいた女性が振り返り、パッと明るい表情で話しかけてきた。


「わっ! こんなところで会うなんて、偶然ですねえ!」
 
 間違いなく朝陽さんだ。けれど、なんだか動揺しているみたいだ。


「ほんとに! でも、どうして長門先生と一緒にいるんですか?」

 私は何も考えずに疑問を口にした。

 すると、朝陽さんは「買い物中だったのよー」と笑いながら言った。


「それで、君たちはどういう関係?」

 と遥さんが冷静に質問をした。

 すると、長門先生がそれに答えようとした。


「ああ、セ……」

「おおおおおっ! おともだちですうううっ!!!」

 朝陽さんが大声で遮った。


「友達?」

「そ、それじゃ、私たち用事があるので、これで!」

 朝陽さんは手を振ってさっさと離れてしまい、長門先生は無言で彼女のあとについて行った。


 珍しい組み合わせだなあと思った。

 だけど、なんだか嬉しいな。


「男女の友情ってあるんだね。私も伊吹くんと友達でいられるかな」

 親しくはできなくても普通に友人でいられたらいいなと、そんなことを思っていたら、遥さんがとなりで妙にさっぱりした口調で言った。


「あのふたりは君の考えているような友達じゃないから、真似しなくていいよ」

「え? どういうこと?」

 遥さんはそれには答えてくれなかった。


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