18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 私たちがそのお店に入ると、きちんと正装をしたスタッフが並んで「いらっしゃいませ」と頭を下げた。

 スタッフのひとりの女性が前に出て「お待ちしておりました」と声をかけられた。

 まわりを見わたすとたくさんのドレスや宝飾品がキラキラしていて、思わず見惚れてしまった。


「すぐにご用意いたしますので、こちらでお待ちくださいませ」

 案内されたテーブルには紅茶とお菓子(ケーキとマカロン)が用意されていて、私たちはふかふかのソファに座った。


「すごい、綺麗。でも、結婚式のドレスはもう決めたよね? まさか、また別のドレスを着るんじゃ……」


 私を散々着せ替え人形にしたくせに、まだ足りないのだろうか。

 遥さんは「違うよ」と言って、紅茶を飲んだ。

 私もお腹が空いていたのでマカロンを口に入れた。


「秋月さま、ご用意させていただいた品はこちらでございます」


 白いケースに入っていたのはシルバーの皮に透明のガラス装飾が施された(ヒール)

 照明の加減で淡いブルーにきらめいて、それはまるでガラスの靴のように見える。


「すごーい。ガラスの靴みたい」

「君の願いだったからね」

「え?」

 ふと遠い記憶を呼び起こす。


 ――がらすのくつをはくのよ――


「遥さん……覚えて?」

 胸の奥がじわりとして目頭が熱くなった。



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