18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
36、エピローグ
季節が変わり始める10月の初旬。
晴れてちょうどよい気候のその日に、私たちは結婚式を執り行った。
挙式、披露宴は近い親戚と親しい友人を招いた。
びっくりするほど綺麗にメイクをしてもらって、自分が別人みたいに思えた。
遥さんと選んだドレスを着て、彼にもらった靴を履いて、私は挙式前の控室で両親と話していた。
「いろは、綺麗だよ。でも、パパは寂しいぞ」
涙脆い父はすでに泣いていた。
「パパ、私もう1年前に家を出ているのに……」
「それとこれとは違うんだよ。やっぱり娘の晴れ姿には胸を打たれるものがあってだね」
鼻を赤くする父はこれからみんなの前に一緒に出ていくのに大丈夫なのだろうかと心配になった。
「やだわ。一生会えないわけじゃないでしょ。いろは、遥くんが来たわよ」
母はさらりと話題を変えた。
正装をした遥さんの姿にうっかり見惚れていると、彼はおもむろにカメラを取り出し、私の写真を撮った。
「は、遥さん!」
「いいね。何枚撮っても足りないくらい」
嬉しそうに写真を撮ろうとする彼に向かって声をかけたのは母だ。
「遥くんも主役なのよ。写真は他の人たちに任せて、いろはの横に立っていればいいの。さあさあ!」
母は遥さんからカメラを取り上げ、彼を私のとなりに並ばせた。
「俺の写真なんかどうでもいいのにね」
と遥さんがぼそりと言うから私は反論した。
「やだ! 私がほしいもん。イケメンの遥さん」
言い合いをしているあいだに、かしゃりと音がした。