18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「あの、実は坊ちゃんにお会いしたいという方がいて……」
加賀さんが遠慮がちに言うと、遥さんは「誰?」とすぐさま訊ねた。
加賀さんの背後からひょっこりと現れたのは奏太くんだった。
「あ、奏太くん。久しぶりだね」
と私が話しかけると彼は照れくさそうに頷いた。
「さあ、勇気を出していってらっしゃいませ」
加賀さんに背中を押されて、奏太くんはゆっくりと私たちに近づいてきた。
というよりは、彼は遥さんに向かって歩いてきた。
そして、遥さんの前に立った彼は顔を上げて言った。
「お、にぃ……さん!」
奏太くんの顔はみるみるうちに真っ赤に染まった。
「おめでとう、ございます!」
奏太くんはじっと遥さんを見つめたまま固まった。
緊張しているのか、額から汗をかいている。
遥さんがどう反応するのか、不安げにとなりを見ると、やっぱり彼は驚いていた。
だけど、すぐに微笑んで返した。
「ありがとう、奏太」
奏太くんは驚いた表情で目を丸くして、それから破顔した。
すごく可愛い笑顔だった。