18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
遥さんは口もとに笑みを浮かべて、あくまで冷静に由希ちゃんと話す。
「俺は付き合うのも結婚もたいして変わらないと思ってますよ」
「いやいや、女にとっては一生のことなので。あなたは変わらなくても、いろはには人生がかかってるんですよ」
「ええ、もちろん。責任を持っていろはさんを受け入れる覚悟です」
空になった由希ちゃんのグラスに、遥さんはワインを注ぐ。
由希ちゃんは上目遣いで遥さんをじっと見つめている。
私はドキドキが止まらなくて、それ以上食事が進まないでいた。
「えっと、由希ちゃん……ちょっと酔ってる?」
これ以上、妙な空気になりたくなくて、私は由希ちゃんに話しかけた。
しかし、彼女は私を無視して続ける。
「いろは、高校生なんですよ。まだ、親の保護を受けているんです」
それに対し、遥さんはにっこりと笑顔で返す。
「もちろん、わかっています。これからは、俺が彼女を扶養するのでご心配なく」
「社会に出たこともない女を妻にする覚悟、あります?」
「社会に出て変な虫がつくより、よほどいいですね」
「つまり、従順な女がいいんですね」
ふたりのあいだに冷ややかな風が走った気がした。
由希ちゃんは真顔で遥さんを見据えている。
遥さんからは笑みが消え、彼は由希ちゃんを見下ろすように目を向けている。
「由希ちゃん……!」
私は耐えられなくなってふたりのあいだに入った。