18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

「いい匂いだね」

「カレーを作ったんです」

「そう。楽しみ」

 遥さんは私の頭を撫でてにっこりと笑った。

 それからリビングに入ると彼はダイニングテーブルを見て訊ねた。


「宿題してたの?」

「あ、えっと、宿題じゃないんですけど……わたし、苦手で……」

 すると遥さんは振り向いて笑顔で言った。


「あとで見てあげるよ。ちょっと久しぶりだから記憶を辿らないといけないけどね」

「ほんとですか? 遥さん、数学得意だったんですか?」

「うん。家庭教師をしていたよ」

「わー」


 なんて心強い!

 遥さん、なんでもできるんだなあ。



 テーブルにランチョンマットを敷いて、銀のスプーンとフォークを置く。

 大きなお皿に白米と、たっぷりのカレーを盛りつけた。
  
 じゃがいもがほとんど溶けてしまって人参がやけに目立っている。

 野菜サラダを添えて、グラスにはレモン入りの水。


 母がよくしてくれていたことだ。


「ごちそうさま。美味しかったよ」


 遥さんはすべて綺麗に食べてくれた。

 よかった。下手だから心配だったけど、初めてのひとり料理はたぶん成功だ。



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