18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
9、夫婦生活開始!?
結局、今朝は早く目が覚めてしまって、おかげで朝食作りも洗濯もできた。
お弁当は今日は購買で買うことにする。
時間はたくさんあったけど、ずーっと考えごとをしていて卵焼きを焦がしてしまったので諦めた。
遥さんが起きてきて、お弁当を作ってくれるって言ったけど、今日は断った。
彼は何事もなさそうにいつもどおり穏やかな笑顔で接してくれた。
私だけが悶々とした感情を抱いている。
だけど、なぜ昨日は唇にキスをしてくれなかったの? なんて言えない。
まるで自分がいやらしい人間になったみたいで恥ずかしかった。
先生に用事があって職員室へ向かっていると、曲がり角で人にぶつかりそうになり、慌てて立ち止まった。
「ごめんなさい!」
「いや、こっちこそごめんね。ケガはない?」
「……はい」
見上げるとそこには白衣を着たイケメンが立っていて、思わず頬が緩んだ。
甘い顔の優しそうな保健医で、女子から大人気なのだ。
彼は琉星に雰囲気が似ているから小春の好みのタイプである。
「寝不足かな?」
先生はにっこりと笑って訊ねた。
「はい。すみません、ぼうっとしてて……」
「勉強も大切だけど、しっかり睡眠もとらなきゃ駄目だよ」
「はい」
「体調が悪くなったらいつでも保健室においで」
「ありがとうございます」
彼は極上の笑顔で軽く手を振って立ち去っていった。
白衣姿の背中を見送りながら、ほうっとため息をつく。
本当に優しそうな人だなあ。
長門絢貴先生。