18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 食事のあとは山下公園を歩いた。

 夜のこの公園にはカップルがいっぱいで、みんな手を繋いで歩いている。

 私たちはただとなりに並んで歩いているだけだった。


 夜風が涼しくて気持ちいい。

 暗い海の向こうには街の明かりがキラキラ光っている。


 ふとベンチに座っているカップルがキスをした瞬間を見てしまって慌てて目をそらした。

 すると、その視線の先にも別のカップルがキスをしている光景が見えて慌てて遥さんに顔を向けた。


「どうしたの?」

 と彼は冷静に訊ねる。

「えっと、結構カップルが多いですよね」

「そうだね」

 遥さんは淡々とそう返した。


 みなとみらい定番のデートスポットだから、カップルが多いことは周知の事実。

 だけど、私は少し期待してしまっていた。


 この雰囲気の中で気持ちが盛り上がって、私たちも距離がもっと近づくかなあって。

 だけど、キスはおろか手をつなぐことさえなかった。


 初めてのデートのときは手をつないでくれたのに。


 結局、潮風に当たりながら私は学校のことを話して、遥さんはずっと話を聞いてくれていた。

 私も彼に職場でのことを質問したりしたけれど、彼はさらっと話しただけで詳しくは教えてくれなかった。


「仕事の話をしても面白くないだろう」


 そんなふうに笑いながら言って、話をそらされてしまった。


 そういえば、遥さんはあんまり自分のことを話さないなあと思う。

 私は遥さんのことをほとんど知らない。



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