18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 明日もあるから帰宅するとすぐにシャワーを浴びた。

 遥さんは今夜もひとりでお酒を飲むみたいで、私は勇気を出して申し出た。


「あの、私もご一緒しては駄目ですか?」


 遥さんはすでにバルコニーのそばの簡易テーブルに赤ワインのボトルを置いて、グラスも用意していた。

 遥さんは真顔でじっと私を見て、ふと訊ねた。


「酒、飲みたい?」

「えっ……」


 どうしよう。法律的にはまだ駄目だけど。

 でも、飲んでみたい。


 どんな味がするんだろう?


 子供の頃、父のワインをジュースと間違って飲んだことがあるけど、すっごく不味くてすぐに吐き出して、しかも泣いてしまって母を困らせたことがある。


 やっぱり不味いのかな?


「でも、駄目」

 と遥さんは淡々と言って、自分のグラスにワインを注いだ。


 なんだか緊張の糸が切れたように体の力がふっと抜けた。


「ごめんなさい」


 出しゃばりすぎてしまったのかもしれない。

 遥さんはひとりでお酒を飲むことが好きだって由希ちゃんに言っていたのを聞いたのに。


「味見くらいならさせてあげる」

「え?」

 遥さんはワインをひと口飲んでから、私に言った。


「いろは、おいで」


 彼は手を差し出してきて、私はまるで引き寄せられるように手を伸ばした。

 その瞬間、腕をぐいっと掴まれて、それから彼はすぐに私を抱き寄せた。


 何が起こったのか、一瞬のことで、驚く間もないほど素早く、唇を奪われた。




< 97 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop