【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
貴一は、そもそもの東雲家当主暗殺計画が破綻となり頭を抱えた。


3人とも、なぜ和葉が選ばれたのかわからなかった。


乙葉を嫁にしたかったために、玻玖には恥を忍んで特別に、和葉には呪術の力がないということも正直に伝えた。


しかし、それでも和葉を嫁にほしいというのだ。


もし、この縁談を断るとするのなら、和葉に別の縁談相手を用意するしかない。

だが、これ以上和葉が呪術が使えないという秘密を他にさらすわけにはいかず、もしさらしたところでそんな和葉を嫁に迎えたいという呪術家系などあるはずもなかった。


嫁としてもだれからも相手にされない和葉をもらい受けたいという申し出は、黒百合家にとっては申し分ないこと。

そのはずなのだが、そうなったら東雲家を内側から潰すという計画はただの夢物語に終わる。
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