【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
第六章 不吉な手紙
その後、和葉の口づけにかけられた呪いは解かれた。

その負の呪術で玻玖は死なないとはいえ、呪術を解いてほしいというのは和葉の希望だった。


『眠毒ノ術』には、貴一の強い念が込められていたが、それを『無効化ノ術』で解くのは玻玖にとってはそう難しいものではなかった。


黒百合家からも解放された和葉は、東雲家の屋敷でなにに縛られることもない自由な暮らしを送っていた。

しかし、自由すぎる生活にも慣れてはいないもので、使用人の手伝いもさせてもらっている。


玻玖も不思議な男ではあるが、東雲家に仕える使用人たちも全員顔全体を覆う狐の面をしていて、他の屋敷の使用人たちとは違う。


それに、突然気配もなく現れたり。

かと思えば、すぐにいなくなったり。


だが、和葉が必要に感じたときにはどこからともなく現れるのだった。
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