【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
しかも、前回の呪披の儀で『予知眼ノ術』を披露した乙葉ではなく、病で伏せっていると聞いていた名前も知られていないような娘が。


「和葉というのだな。玻玖よ、素直そうなよい娘ではないか」

「はい。俺が惚れた女ですから」

「そうかそうか、それはよいことじゃ。最高の呪術師である『神導位』の玻玖も、所詮はただの男じゃの〜。美人には目がなかったということか」


帝は持っていた扇子を広げ、それで口元を隠しながらホホホと笑う。


「ところで、和葉」

「…はい!」

「そなたも黒百合家の長女であるならば、わらわが驚くような呪術を持っているのであろう?」

「…え……」


言葉に詰まる和葉。


「ひとつ、この場で見せてくれんかの〜。神導位の妻として見初められた者の実力とやらを見てみたいからの」
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