【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
和葉の表情が固まる。
見せるもなにも、呪術など使えない。
貴一と八重に睨まれているわけではないから、帝に直接本当のことを伝えればいいだけのこと。
しかし、そうしたら玻玖に迷惑をかけてしまうかもしれない。
神導位でありながら、なぜこのような無能な娘を妻にしたのかと。
きっと、見る目がないにもほどがあると馬鹿にされ、笑われることだろう。
和葉は、自分がなんと言われようとかまわなかったが、玻玖の重荷にはなりたくなった。
「あ…あの、帝様…。その…」
適当な言い訳が思いつかない。
冷や汗が流れる和葉。
うつむいたまま、顔を上げることができない。
――すると、そのとき。
「帝さん、今は呪披の儀ではありません。和葉に呪術を求めるのはやめていただきたい」
玻玖が庇うようにして、和葉の前に腕を伸ばす。
見せるもなにも、呪術など使えない。
貴一と八重に睨まれているわけではないから、帝に直接本当のことを伝えればいいだけのこと。
しかし、そうしたら玻玖に迷惑をかけてしまうかもしれない。
神導位でありながら、なぜこのような無能な娘を妻にしたのかと。
きっと、見る目がないにもほどがあると馬鹿にされ、笑われることだろう。
和葉は、自分がなんと言われようとかまわなかったが、玻玖の重荷にはなりたくなった。
「あ…あの、帝様…。その…」
適当な言い訳が思いつかない。
冷や汗が流れる和葉。
うつむいたまま、顔を上げることができない。
――すると、そのとき。
「帝さん、今は呪披の儀ではありません。和葉に呪術を求めるのはやめていただきたい」
玻玖が庇うようにして、和葉の前に腕を伸ばす。